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シンプリシティという思想が、人生と商品を磨いていく

2025.06.18
記事

〜iPhone の箱から学んだ「引き算の美学」〜


こんにちは、羽田です。

今朝はスプリント練習から始まりました。全力でダッシュを繰り返すと、身体の奥に眠っていたものが呼び覚まされるような感覚になります。

45歳を過ぎて、なお”100%で走る”ということを続ける意味。

それは、単なる筋トレではなく、自分自身の本質に立ち返る時間でもあるのです。

でも今日お話したいのは、そんな「やること」ではなく、“やめること”にまつわる話です。


iPhone との出会いが人生を変えた

20代のとき、僕の手元に初めてiPhoneが届きました。

iPhone 3GS。日本でのスマートフォン黎明期。多くの人が未だに折りたたみ携帯を使っていたあの時代、Appleという異端の存在が放ったそのプロダクトは、まるで別世界から届いた使者のようでした。

最初に驚いたのは、”箱”でした

綺麗に磨かれた白い箱。無駄な印刷は一切なく、取扱説明書の厚みも、注意書きもない。

ただただ、そっと”Hello.”とだけ。

その潔さに、僕は息を呑んだのです。

1億円を投資した箱

調べてみると、Appleはこの箱のために1億円を投資し、既存の箱工場にはない品質を、自らの手で作り上げたとのこと。

あの”箱のフタの閉まり具合”さえも、完璧に設計されていたのです。

この体験を通じて、僕はある思想と出会いました。

それが、**シンプリシティ(Simplicity)**という哲学です。


シンプリシティとは、足し算ではなく「引き算の美学」

Appleのプロダクトに通底する思想、それは”より多くの機能を詰め込む”のではなく、**”本当に必要なものだけを残す”**ということ。

それはまさに…

〝剥ぎ取って、剥ぎ取って、最後に残ったものこそが”完成形”である〟

という思想です。

日本の家電との違い

日本の家電はどうでしょう?

ユニバーサルデザインの名の下に、大きな文字、あらゆる説明文、色分けされたスイッチ……

たしかに親切ですが、その親切が美しさを損ねることもあるのです。

「電源」と書かれた文字が、キッチンの景色を乱してしまうなら、それは機能としては正しくても、体験としては不完全かもしれない。


BONIQ に込めた”引き算の思想”

僕がBONIQを開発するとき、このシンプリシティの思想を強く意識しました。

ユーザーにとって本当に必要な機能とは何か。

“すべてを詰め込んだ多機能デバイス”よりも、毎日の生活にすっと馴染み、ずっと使い続けられる相棒であること。

それがBONIQの目指す姿でした。

ボタンの数

不要なものを削ぎ落とし、触って直感的に操作できるレイアウトに。

音への配慮

不快な単音ではなく、和音スピーカーによるまろやかなサウンドにすることで、日常に寄り添う存在に。

目指したのは、説明書なしでも触れば分かる、そんな”道具”としての完成度です。


シンプルに生きる、という選択

これはプロダクトに限った話ではありません。

仕事でも、家庭でも、人生のあらゆる選択でも、僕はこの「引き算の美学」を意識しています。

YouTube の毎日投稿をやめた理由

YouTubeの毎日投稿をやめたのもその一つ。

情報の洪水の中で、気づけば”数字”を追いかける日々になっていた。

本当に届けたい相手に、本当に届けたいことを伝える——その原点を思い出すために、あえてやめるという選択をしました。

〝足すことで見失うこともある。だからこそ、引く勇気を持ちたい〟

スプリント練習も同じ

今朝のスプリント練習も、ある意味で引き算の実践です。

余計な力を抜いて、無駄な動きを削ぎ落として、最も効率的なフォームを追求する。

複雑な筋トレメニューではなく、シンプルに「走る」ことだけに集中する。

そうすると、自分の本質的な力が見えてくるんです。


あなたの「引き算」は、どこから始めますか?

“もっともっと”と求める現代において、あえて手放すという選択は、時に勇気がいります。

でも、もし今あなたが何かに疲れていたり、立ち止まっているなら。

それは本来の自分に戻るチャンスかもしれません。

小さな引き算から

  • 服をシンプルにする
  • 持ち物を減らす
  • 言葉を少なくして、大切な誰かと静かに向き合う

そんな**”シンプリシティの実践”**は、いつだって人生を整えてくれるのです。

食事も引き算で

実は、BONIQでの低温調理も引き算の発想なんです。

  • 余計な添加物を足さない
  • 素材本来の味を引き出す
  • シンプルな塩だけで十分美味しい

複雑な調味料で味をごまかすのではなく、食材が持つ本来の力を信じる。

これも立派な引き算の美学だと思います。


本当に大切なものを見つける

〝削ぎ落とした先に、本当に大切なものが残る〟

iPhoneの箱が教えてくれたこの真理は、15年経った今でも僕の指針になっています。

BONIQの開発でも、日々の生活でも、人生の選択でも。

何かを足すのではなく、何を引くか。

その判断こそが、その人の美学であり、哲学なのかもしれません。

あなたにとっての Hello.

あなたの人生の箱を開けたとき、そこには何が書かれているでしょうか?

複雑な説明書でしょうか?

それとも、シンプルな”Hello.”でしょうか?

今日から始められる小さな引き算が、きっとあなたの人生をより美しくしてくれるはずです。


今日も、清々しく誇り高く、生きていきましょう。

それでは、また!


あなたが今日やめてみたいことは何ですか?小さな引き算から、人生が整い始めるかもしれません。

代表取締役

株式会社 葉山社中 代表取締役。低温調理器「BONIQ」代表 家庭用低温調理器BONIQを開発し、25万台以上を普及。“ただの家電”ではなく、“整える習慣”を届けるために生きている。 「食は、生き方を映すもっとも静かな哲学である」との信念のもと 、低温調理を通じて日本の食習慣を“整え” 、「三大成人病による死を減らす」ことを生涯のミッションとする 。 葉山在住、1979年生まれで3児の父 。趣味はサーフィン、100mスプリント、サッカー、そして「Graceful Ager(品よく歳を重ねる人)」を増やすための発信活動 。組織に馴染めず独立し、食と向き合う中で、その本質的な価値を探究し続けている。 目標は、90歳の100m世界記録を更新すること。

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